私たちは生まれた時から喜怒哀楽を感じながら生きています。ですが、「感情をあまり感じない人たちがたくさんいる」と聞いたらどう思いますか?
「私ってあまり怒らないタイプだから」
「別に寂しいなんて思わない」
「心から喜んだり笑ったりすることがない」
こんなふうに、自分では気がついてないだけで、実は感情が薄くなっている人がとても多いのです。
そもそも感情とは?
感情は、生きるために快か不快を感じるもの。
どういうことかと言うと、「怖い、臭い、不安などを感じたら命の危険かもしれないから逃げろ!」と脳は司令を出すのです。不快なことは危険なこと、ということ。
自然界に生きていれば、そのような判断は大切で、自分の身を守るために必要不可欠。動物を見ているとよくわかりますが、彼らは本能で生きているので、不安を感じると逃げるか戦うかのどちらかになります。
小さい犬が不安を感じると、吠えまくるか逃げるか、のどちらかを選択するのは命を守るため。このように、感情とは自らの命を守るために必要な本能で、生まれたときから誰でも持っているものです。
感情を感じない理由
ではどうして感情が希薄になっている人が増えているのでしょうか?それにはいくつかの理由があります。
ネガティブな感情を感じたくない
感情には喜怒哀楽のように、感じて楽しいものと楽しくないものがあります。
例えば不安を感じると、ソワソワドキドキして居ても立ってもいられない気持ちになります。そんなとき人は不安感を和らげるように努力しますね。
また違う例えとして、よく嫌がられる感情の一つに嫉妬があります。嫉妬は感じると、自分がカッコ悪く思えたり恥ずかしいと思う感情の一つです。だから嫉妬を感じたとしても感じていないふりをして抑圧してしまうのです。
感情の中には誰もがあまり感じたくない種類のものがあります。それらネガティブな感情は感じるのが辛すぎて、感じないように心に蓋をしてしまい、そのことに慣れてしまうと、いつのまにか感情を感じにくくなってしまうのです。
感情を否定している
上記でも書いたように、一般的に感じると辛い感情について、感じてはいけないと思い込んでる場合があります。
- 怒ることは良くないことだ
- 憎しみは抱いてはいけない
- 嫉妬を感じてはいけない
などというように、特定の感情を否定している人が多いのです。
感情にまつわる辛い経験をしたことがある
自分が幼い頃などに、感情を出したことによって苦い思いをした経験が強く印象に残った場合に、感情=良くないものとして感情を感じない方が生きやすい、と勘違いをしてしまうことがあります。
「感情は感じない方がいい。」そんな風に思うことにより、感じているはずの感情を、感じないようにブレーキをかけてしまうのです。
例えば子供の頃に、すごく嬉しいことがあって大はしゃぎをしていたら、「はしたない!」と大人に怒られた。それ以来、喜ぶことははしたないことだ、と思い込み、嬉しい出来事があっても、喜ばなくなった。というケースは意外と多く見受けられます。
特定の感情だけを感じない、というのは不可能
感情には感じていて楽しいものと楽しくないものがあると書きましたが、ネガティブな感情だけを無視する、ということはできません。
多くの人が感じるのを嫌がるのは、怒り、不安、嫉妬、哀しみ、寂しいなどがありますが、それらは感じたくないけど、喜びは感じたい!というのは無理なのです。
なぜならどの感情も生まれた時から備わっているものであり、命を守るための仕組みだからです。
新しいことにチャレンジするとき、誰でもワクワクドキドキするとともに不安も感じるはずです。それは未知のものに対して抱く当たり前の感情。それなのに、ワクワクドキドキは感じたいけど、不安は感じたくない。と思う方は多いですが、ワクワクと不安は表裏一体。どちらか片方だけを得るというのは不可能なのですね。
あまりに不安を嫌うあまり、不安を感じないために人生でのチャレンジや変化から逃げてしまうと、ワクワクドキドキも感じなくなっていくのです。
感情は人生の羅針盤
「ワクワクすることをやろう!」というのが一時期流行しましたが、感情は自分が好きなことを知るためのサインにもなります。
ワクワクするということは自分がやりたい、求めていることだ。というわけですが、ワクワクの裏には必ず不安が存在し、不安になるのも大切なサインです。決して自分が心地よいと思う感情ばかりを拾うのではなく、ぜひ不安のようなネガティブな感情にも目を向けてみてください。
感情は人生の羅針盤です。感情を豊かに感じることで、生き方の方向性がわかり、人生は豊かになります。
感情を感じる方法
ここまで書いてきたように、感情の中で特定のものだけ感じないようにすることは不可能です。そのため「感情をあまり感じない」「もっと豊かに感情を感じたい!」と言う方は、ポジティブもネガティヴも、どんな感情もありのままに認めて受け止めてください。
ネガティブな感情は逃げれば逃げるほど、負のスパイラルへと陥り、ポジティブに転じることが難しくなる特性があります。
不安を感じたならば、「不安だなぁ、怖いなぁ」と声に出して呟いてみてください。不安な感情はあなたに認めてもらうだけで満足し、あっさりと消えていくことも多いものですよ。